診療所開設(個人開業の場合)

これをご覧になっているということは、そろそろ独立開業を考えていらっしゃるのではないでしょうか。

医師または歯科医師が個人で診療所を開設する場合は、原則は10日以内に開設届を提出するのみです。これに対し、法人が診療所を開設する場合は、許可制となっており、開設許可申請を取る必要があります。

ここでは、医師(歯科医師)個人が開業する場合に限定して一般的な手続き等の流れについて解説していきたいと思います。

開設する場所

どこで開設するか。それまでの勤務先の病院、出身大学の近くで病診連携のメリットを活かすか、人口、駅近、ショッピングモール内等の立地条件や、競合する開業医の数など、ご自身の目指す医療提供とマーケティング的に成功しやすい条件にあう場所を検討します。

入院ベッド

無床診療所か有床診療所かによっても手続きが変わってきます。ベッド数19床までは診療所となりますが、有床診療所の場合は地域の医療ニーズ(医療計画)との整合性が求められます。簡単に言うと地域にベッドが不足しているか充足しているか、不足している病床機能に合致しているのかが客観的に問われます。ここで言う客観的にとは公式な会議の場で決定されたかとなります。具体的には、地域の医療構想調整会議、県の医療計画推進会議、県医療審議会と、地域の合意形成がとれているかが段階的に問われることになります。

開設目的・計画

ご自身の目指される医療提供について開設目的を言語化しておきます。いくつかの場面で問われてきます。開業後の患者数、診療単価などによる売上、人件費、医薬品、診療材料費、医療機器の購入費用・リース費用、家賃、その他経費などの費用面について、開業後の経営計画をシミュレーションをしておきます。

保健所事前相談

図面が出来た段階で保健所に事前相談にいかれることをおすすめします。原則、個人開設の診療所は開設後10日以内の事後届だけでよいですが、構造設備が医療法の基準に則っているかどうかを管轄の保健所に事前に相談しておかないと、いざ開設届を出した段階で不備が見つかった場合、最悪、改修工事が必要だったり、大幅なプラン変更を余儀なくされるケースも考えられます。そういったリスクを事前に打ち消すためにも事前相談はしておいたほうがよいと思われます。

開設届、エックス線装置設置届、構造設備使用許可申請

開設後10日以内に管轄の保健所に開設届、エックス線装置を設置した場合は、設置届、構造設備使用許可申請を提出します。エックス線装置に関しては保健所が使用前検査のため、現地に来て検査を行います。CT、MRIなどについては厚生局に施設基準の届出が必要なものもありますので注意が必要です。

保険医療機関指定申請

管轄の厚生局に保険医療機関指定申請を行います。この許可がないと保険診療ができません。つまり保険証が使えない診療所となってしまいます。毎月締切がありますのでご自身の開業予定日から逆算していつまでに申請をする必要があるか事前に確認します。添付処理として開設届を提出しますので翌月から保険適用と考えておきます。

その他指定申請

生活保護、労働災害、原子爆弾、特定疾患など予め指定医療機関として許可を得る必要があるものがあります。こちらも予め検討しておく必要があります。

施設基準届出

厚生局に施設基準の届出を行わないと診療報酬を算定できないものがありますので、こちらもご自身の診療内容から届出が必要なものを事前に確認しておく必要がございます。

院内掲示

保険医療機関として必要な掲示も決まっています。これらも事前に確認し漏れのないようにしておきます。ホームページで広告できるものも制限がありますので注意が必要です。

専門家の活用

ここには書ききれませんでしたが、設計や採用、資金調達などなど開業に向けてやること、注意すべきことは多岐に渡るため、様々な専門家とタッグを組んで計画的に進めていく必要があるかと思われます。

ここにあげたような行政手続きに関しては、是非、ご相談いただけましたら幸いです。なお、登記手続きなどは司法書士の独占業務となり、専門が分かれる部分がございますので予めご了承ください。

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